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心の感じるままに。カーリングをメインに様々なスポーツを追いかけて。駆け出しスポーツライターの人生奮闘ブログ。

軽井沢国際カーリング選手権終了 〜結果と感想と今後の展望など〜

まずは、軽井沢国際カーリング選手権の最終日の結果です。

 

【男子】

準決勝

スコットランド(チームBrewster) 7−6 カナダ

スコットランド(チームMurdoch) 7−2 SC軽井沢

決勝

スコットランド(チームBrewster) 4−3 スコットランド(チームMurdoch)

3位決定戦

SC軽井沢 7−5 カナダ

 

【女子】

韓国(チームGim) 4−2 ロシア

スウェーデン 7−5 スコットランド

決勝

韓国(チームGim) 7−4 スウェーデン

スコットランド 5−3 ロシア

 

〈男子の大会感想〉

・充実ぶり光るSC軽井沢

日本勢で唯一最終日まで残り、3位でフィニッシュしたSC軽井沢の充実ぶりが光ります。3位決定戦で対戦したカナダのチームは、2010年バンクーバー五輪金メダル、2015年世界選手権銅メダル。スコットランドの2チームは、2014年ソチ五輪銀メダリストのメンバーが枝分かれしてできたチームらしいです。準決勝で対戦したスコットランド(チームMurdoch)には、予選では勝利しています。

「来年の世界選手権で表彰台が大きな目標(スキップ両角友佑選手)」

さらに自信を深める手応えある大会となったようです。

 

・ まだ見えぬ、抜きん出た2番手

海外の強豪チームが参加した今大会。その中で、初戦でカナダに勝利したI.C.E。I.C.Eは昨シーズンの日本選手権を準優勝したチーム東京です。その時は、SC軽井沢以外のチームに全て勝利しています。初戦の結果を見て、SC軽井沢を追う抜きん出た2番手として期待が高まりました。しかし、2戦目の長野県CAに敗れ、3戦目のNS戦は接戦での勝利。まだ、抜きん出た2番手とは言いづらいのかなとの印象です。他チームを含め、一層の奮起を期待したいです。

 

〈女子の大会感想〉

・ 強さ目立った海外チーム

女子は、韓国(チームGim)が予選から6連勝で優勝しました。韓国は、地元での五輪開催に向けレベルを上げてきそうです。また、強豪スコットランドとロシアを上回る2位となったスウェーデンをはじめ、他国も1年後の五輪に照準を合わせた本気モードの予感です。

 

・ 最適解を模索するLS北見

それに対して、国内はどうか? やはり、一番気になったのは昨シーズンの強さが影を潜めているLS北見。予選では、海外参加の3チームに全て敗れてしまいました。今シーズンは、出産で昨シーズン控えに回っていた本橋麻理選手が本格復帰したこともあり、調子の上がらないチームの最適解のメンバー配置を模索しているようです。テレビ観戦したスコットランド戦では、

本橋選手→サード

昨シーズンサードの吉田知那美選手→セカンド

昨シーズンセカンドの鈴木夕湖選手→控え

でしたが、まだ噛み合っていない感じがしました。今シーズンは他のメンバー配置も試しています。チームの最適解を見つけることで、昨シーズンの安定感と4人が1本の線になるようなつながりを、日本選手権でどこまで戻せるか注目です。

 

・強いインパクトとまではいかなかった北海道銀行と富士急

LS北見を追いかける北海道銀行と富士急。北海道銀行は、決勝トーナメントに進出しましたが、LS北見を押し退けるような存在感とまでは至りませんでした。ただ、予選のあおもりユース戦のみの観戦ですが、サードに入った船山弓枝選手の堅実なプレーぶりは印象に残りました。数々の世界大会を経験している船山選手と小笠原歩選手のコンビ復活は、他チームからすれば気になるでしょう。とはいえ、控えに回っている吉村紗也香選手を含め、まだ日本選手権までに配置変更の可能性もあるかもしれません。昨シーズンの日本選手権優勝の富士急は、リードからサードまでが新メンバー1人と配置変更により変わっています。今大会のスコアを見る限りですが、エンドごとに好不調の波が激しい印象を受けます。個人的には、昨シーズンの日本選手権でいい活躍を見せていたサードの栁澤選手の不在が残念です。富士急も、LS北見北海道銀行と同様に、今後メンバー変更や配置転換があるかもしれません。

 

・台風の目となりそうなジュニア世代

昨シーズンの日本選手権を観戦して強く印象に残った1つに、ジュニア世代の活躍がありました。ジュニア世代で構成された軽井沢FBは、中部選手権で強豪チームの1つである中部電力を破って日本選手権出場し、本大会でも3位で決勝トーナメント進出(最終結果は4位)。とてもきびきびとしたプレーで、いいショットを決めていました。また、あおもりユースも、予選4位で富士急と並びタイブレークで敗退となるなど存在感を見せました。そして、今大会。軽井沢FBは昨シーズンのスキップ中嶋星奈選手が抜けましたが、初戦でロシアを破る金星を挙げ、次戦のデンマーク戦でも終盤まで接戦を繰り広げています。そして、中嶋星奈選手は今春中部電力に入社しています。今大会は控えの登録になっていましたが、メンバー編成に入れば楽しみ選手です。あおもりユースは、11月の日本ジュニアカーリング選手権で全勝優勝。今大会は、選手登録が一部変更されていますが、北海道銀行には中盤まで互角に渡り合い、最終戦ではカナダを破る活躍を見せました。上位3チームが不安定なままならば、ジュニア世代が台風の目になる可能性を秘めています。

 

〈日本選手権に向けてのキーポイントは? 〉

女子については、個々の調整と共に、最適解のメンバー編成にたどり着けるかが注目です。そして、私は男女共に「リードとセカンドのフロント陣の出来」をキーポイントに挙げたいと思います。カーリングは、4人のうち最後に投げるフォースのラストショットで点数が決まります。どんな状態で迎えてもラストショット次第ではあります。しかし、形勢を逆転するようなスーパーショットは、1試合でそう何回も決められるものではありません。できるかぎり相手より有利な状況を終盤までに作っておき、フォースが最低限の仕事をきっちりこなす。これが、カーリングにおける最上の勝ちパターンだと思っています。カーリングは、氷上のチェスと評されるように、戦術的な要素がとても強いスポーツです。相手の手を予想し、嫌がる作戦をとる。味方の調子や得意なショットを考え、ベストな石の配置を考えます。序盤の石の配置で苦戦を強いられると、自分達が選択できる作戦の幅も狭まり、要求されるショットの難易度も上がってしまいます。世界選手権を見ても、強豪チームはフロント陣の精度がとても高いです。昨シーズンのLS北見は、サードの吉田知那美選手やフォースの藤澤五月選手に注目がいきがちですが、その影には地道に石を配置し続けたリードの吉田夕梨花選手と鈴木夕湖選手の頑張りがあります。石をハウス(得点対象となる円)に入れたい時にしっかり入れる、ハウスの手前の置きたい所にしっかり置く。これをし続けたチームが、安定感を手にして勝利に近づくはずです。

また、フロント陣はスイープ(氷の表面を掃くこと)や、ウエイトジャッジ(投げた石がどのあたりで止まるかの判断)の回数が一番多いポジションでもあります。今年からはスイープ(氷の表面を掃くこと)のブラシについても変更点がありました。スイープの回数も多いフロント陣は、この部分でもいち早く変更点に慣れておくことが求められるかもしれません。

 

平昌五輪代表権の行方を大きく左右する1月末の日本選手権まで、わずか約1ヶ月。各チームが最高の準備をして、レベルの高い代表権争いになることを期待したいです。そして、初めてカーリングを観た人が、「カーリングって面白いなあ」と思えるような好試合に出会ってくれたらなと願うばかりです。

軽井沢国際カーリング選手権3日目までの結果 〜今シーズンの国内女子は混戦模様? 〜

軽井沢国際カーリング選手権は3日目を終え、最終日を残すのみとなりました。

 

前回のブログで、今大会に注目する理由を、

「平昌五輪代表権争いを占う前哨戦となる大会」と書きました。

 

それは、平昌五輪代表選考対象の日本選手権前に国内有力チームが集まる大会であり、日本選手権の同じ試合会場だからだと。

 

そして、もう1つ。ここにきて、女子の国内チームの勢力図が混戦模様になりつつあるからです。

 

極端に言ってしまえば、昨年はLS北見の一人勝ちでした。シーズン前に実力者の藤澤五月選手が加入したものの、主将の本橋麻理選手は産休により控え。4人のコンビネーションが噛み合うかがカギでした。しかし、蓋を開けてみると、

 

アジアパシフィック選手権代表決定戦→優勝で代表権獲得(当時国内チャンピオンだった北海道銀行には3連勝)

アジアパシフィック選手権→優勝(日本の優勝は10年ぶり)

日本選手権→チーム初優勝

世界選手権→日本カーリング界史上初のメダル獲得で準優勝

 

です。シーズン通して本当に強かったです。日本選手権は予選から観戦しましたが、安定感がずば抜けていました。

 

しかし、今シーズンはその強さが影を潜めています。アジアパシフィック選手権は、韓国、中国に次ぐ3位。まあ、昨年も日・中・韓は伯仲していたので、その可能性も考えられました。しかし、それだけでなく他の大会でも国内のチームに負けるなど精彩を欠いているのです。少し雲行きが怪しくなってきました。

 

LS北見の仕上がり具合だけでなく、対抗と目される北海道銀行や昨シーズン日本選手権準優勝の富士急がどんな存在感をみせるのか。そして、勢いのあるジュニア世代の軽井沢FBやあおもりユースがどれだけ迫ってくるのか。強豪チームの1つでもあった中部電力の巻き返しもあり得る。見どころが多い大会となりました。

 

男子に関しては、SC軽井沢が抜けている状況は変わらないと思います。今シーズンは11月のアジアパシフィックカーリング選手権でも優勝しています。軽井沢SCには、ぜひ勝ち抜いて海外の強豪チームと決勝を戦って欲しいなと思います。男子カーリングにも注目が集まるようになるには、今は彼らの力が必要でしょう。そして、それ以外の国内チームから「抜きん出た国内ナンバー2」が出てくるのを期待したいです。

 

次回は、最終日の結果とともに、大会を終えて感じた印象と今後の展望などお伝えできればと考えています。

 

では、2日目と3日目の試合結果を合わせて載せておきます。

 

女子

【Aブロック】

スウェーデン 9−1 中部電力

韓国(チームKim) 6−5 LS北見

LS北見 6−3 中部電力

スコットランド 9−3 スウェーデン

スコットランド 9−2 LS北見

韓国(チームKim) 8−1 中部電力

 

勝敗表(★は決勝トーナメント進出)

スコットランド 4勝0敗

スウェーデン 3勝1敗

韓国(チームKim) 2勝2敗

LS北見 1勝3敗

中部電力 0勝4敗

 

【Bブロック】

試合結果

カナダ 6−5 北海道銀行

中国 5−3 札幌学院大学

北海道銀行 3−1 あおもりユース

カナダ 7−2 札幌学院大学

北海道銀行 6−5 中国

あおもりユース 3−2 カナダ

 

勝敗表

北海道銀行 3勝1敗

★中国 3勝1敗

あおもりユース 2勝2敗

カナダ 2勝2敗

札幌学院大学 0勝4敗

 

【Cブロック】

試合結果

富士急 6−5 デンマーク

韓国(チームGim) 10−3 軽井沢FB

ロシア 5−4 デンマーク

韓国(チームGim) 10−3 富士急

韓国(チームGim) 7−4 ロシア

富士急 9−3 軽井沢FB

 

勝敗表

★韓国(チームGim) 4勝0敗

★ロシア 2勝2敗

富士急 2勝2敗

軽井沢FB 1勝3敗

デンマーク 1勝3敗

 

決勝トーナメント準々決勝 ※スコットランドと韓国(チームGim)はシードで準決勝から

 

ロシア 5−1 北海道銀行

スウェーデン 8−4 中国

 

ロシア、スウェーデンは最終日の準決勝へ

 

 

男子

【Aブロック】

試合結果

軽井沢WILE 8−6 札幌学院大学

韓国(チームS.Kim) 8−3 GLORIA青森

軽井沢WILE 6−5 GLORIA青森

スコットランド(チームBrewster) 8−5 韓国(チームS.Kim)

韓国(チームS.Kim) 6−4  軽井沢WILE

スコットランド(チームBrewster) 4−3 札幌学院大学

 

勝敗表

スコットランド(チームBrewster) 4勝0敗

★韓国(チームS.Kim) 3勝1敗

軽井沢WILE 2勝2敗

札幌学院大学 1勝3敗

GLORIA青森 0勝4敗

 

【Bブロック】

試合結果

長野県CA 8−3 I.C.E

デンマーク 7−2 NS

カナダ 9−6 デンマーク

I.C.E 6−5 NS

デンマーク 6−4 I.C.E

カナダ 5−3 長野県CA

 

勝敗表

★カナダ 3勝1敗

デンマーク 3勝1敗

I.C.E 2勝2敗

NS 1勝3敗

長野県CA 1勝3敗

 

【Cブロック】

試合結果

Sapporo four play 7−4 北見工業大学

SC軽井沢 6−5 スコットランド(チームMurdoch)

スコットランド(チームMurdoch) 8−3 北見工業大学

Sapporo four play 7−4 G-DREAM

スコットランド(チームMurdoch) 6−2 Sapporo four play

SC軽井沢(日本) 7−5 G-DREAM

 

勝敗表

★SC軽井沢 4勝0敗

スコットランド(チームMurdoch) 3勝1敗

Sapporo four play 2勝2敗

G-DREAM 1勝3敗

北見工業大学 0勝4敗

 

決勝トーナメント準々決勝 ※スコットランド(チームBrewster)とSC軽井沢はシードで準決勝から

 

カナダ 6−3 デンマーク

スコットランド(チームMurdoch) 8−2 韓国(チームS.Kim)

 

カナダ、スコットランド(チームMurdoch)は最終日の準決勝へ

軽井沢国際カーリング選手権開幕 〜Road to 平昌の前哨戦〜

15日から、軽井沢アイスパークで軽井沢国際カーリング選手権が開催されました。参加チームは、男女それぞれ15チーム。国内の有名チームだけでなく、海外からも強豪チームが参加し、最終日の18日までの4日間熱戦が繰り広げられます。

 

個人的な都合で現地観戦が難しいのが残念ですが、今日から4日間、五輪代表権争いなどをはじめとした情報にも触れながら、試合結果を中心とした大会情報をお伝えできたらと思います。なるべく簡潔でわかりやすくお伝えするつもりです。

※ちなみに、Ustreamの「nagano-curling」というチャンネルでは一部の試合配信をしています。また、大会最終日の模様はBS朝日でも放送されるようです。

 

私は、今大会は単なる1つの国際大会以上の意味を持つ大会になるのではないかと注目しています。その一番の理由は、

 

「平昌五輪代表権争いを占う前哨戦となる大会」

だからです。そこで、今回はごく簡単に平昌五輪代表権争いについて整理してみます。

 

まず、そもそも日本代表が平昌五輪に出場できるのか?

という問いに対してですが、これは「ほぼ確実に出場できる」と言っていいと思います。

 

平昌五輪出場権を決めるのは、「オリンピックポイント」という世界選手権の順位に応じて与えられる点数です。参加する12カ国には、

1位14ポイント

2位12ポイント

3位10ポイントで

以降は順位が下がる事に1ポイントずつ下がり、12位1ポイントが与えられます。

 

対象となるのは、五輪前2シーズンの世界選手権。つまり、昨シーズンと今シーズンの世界選手権(来年3月開催)で獲得したポイントの合算です。過去の実績から、9ポイント前後が当確ラインのなるのではと考えられています。昨シーズンの世界選手権で日本が獲得したポイントは、

 

男子9ポイント (参加チーム SC軽井沢)

女子12ポイント (参加チーム LS北見)

 

既に当確ラインに到達しています。男子は4位、女子は日本勢初のメダル獲得となる準優勝と好成績を収めました。男子は今シーズンの世界選手権出場を決めましたので、更にポイントが上積みされます。男子は、長野五輪以来20年ぶりに五輪への扉をこじ開けそうです。また、この好成績を見る限りでは、「日本のカーリングは、男女とも五輪でメダルを狙える位置まできた」と言うこともできるかもしれません。

 

では、次に国内の平昌五輪代表権争いはどうなっているのか?

 

これに関しては、男子のSC軽井沢と女子のLS北見が、「リーチをかけてはいるが、安心はできない状態」と言えます。

 

国内の五輪代表は、昨シーズンと今シーズンの日本選手権の成績によって決まります。

2大会とも同一チームが優勝した場合→そのまま五輪代表

優勝チームが異なる場合→改めて代表決定戦を行いその勝者が五輪代表

 

です。昨シーズン優勝した上記の男女2チームは、仮に今シーズンの日本選手権で優勝できなくても、代表決定戦に勝利すれば五輪代表です。五輪代表に一番近い位置にいることは間違いないですが、実際はそんな心境ではないかもしれません。仮に今シーズンの日本選手権に優勝できなければ、条件は全くの五分。そして、代表決定戦次第では、「自らが世界選手権で好成績を収めて勝ち取った日本の五輪出場権を、他チームに譲り渡す」可能性も残しています。実際、多少状況は違いますが似たようなケースがソチ五輪の時にも起きています。

 

男子のSC軽井沢と女子のLS北見にとっては、連覇して五輪代表権を決めてしまいたい。他チームにとっては、優勝して五輪出場へ望みをつなぎたい。その大事な日本選手権は、来年1月末に今大会と同じ軽井沢アイスパークで開催されるのです。

 

日本選手権前に国内有力チームが集まる大会であり、日本選手権の同じ試合会場。

それが、「平昌五輪代表権争いを占う前哨戦となる大会」とした理由です。

 

んじゃ、平昌五輪代表権を争う国内の勢力図はどうなっているのか? それに関しては次回にゆずって、今大会の大会方式と1日目の試合結果をお伝えします。

 

 

大会方式は、男女ともに15チームが3ブロックに分かれて総当たりのリーグ戦を行い、上位6チームが決勝トーナメントに進みます。詳細はわかりませんが、おそらく各ブロックの2位までが決勝トーナメント出場かと思われます。試合方式は、世界選手権や日本選手権の10エンドまでとは違い、8エンドまでの合計得点で勝敗を競います。これは、野球の9イニングが7イニングに短縮された感じと思えばいいと思います。

 

最後に試合結果です。ブロックごとに分けました(ブロック名は、便宜上勝手にABCとしています)。

 

男子

【Aブロック】

試合結果

スコットランド(チームBrewster) 5−3 GLORIA青森(日本)

韓国(チームS.Kim) 9−4 札幌学院大学(日本)

札幌学院大学(日本) 8−5 GLORIA青森(日本) 

スコットランド(チームBrewster) 6−4 軽井沢WILE(日本)

 

勝敗表

スコットランド(チームBrewster) 2勝0敗

韓国(チームS.Kim)         1勝0敗

札幌学院大学(日本)  1勝1敗

軽井沢WILE(日本)   0勝1敗

GLORIA青森(日本)  0勝2敗

 

【Bブロック】

試合結果

NS(日本) 4−3 長野県CA(日本)

I.C.E(日本) 7−6 カナダ

カナダ 9−0 NS(日本)

デンマーク 6−3 長野県CA(日本)

 

勝敗表

デンマーク  1勝0敗

I.C.E(日本)   1勝0敗

カナダ  1勝1敗

NS(日本)  1勝1敗

長野県CA(日本)  0勝2敗

 

【Cブロック】

試合結果

スコットランド(チームMurdoch) 10−2 G-DREAM(日本)

SC軽井沢(日本) 6−5 北見工業大学(日本)

SC軽井沢(日本) 10−2 Sapporo four play(日本)

G-DREAM(日本) 9−4 北見工業大学(日本)

 

勝敗表

SC軽井沢(日本)  2勝0敗

スコットランド(チームMurdoch)  1勝0敗

G-DREAM(日本)         1勝1敗

Sapporo four play(日本)  0勝1敗

北見工業大学(日本)   0勝2敗

 

 

現日本代表のSC軽井沢は順当に2連勝しています。特筆すべきは、日本勢で唯一海外勢に勝利したI.C.E。彼らは昨シーズンの日本選手権で準優勝したチーム東京です。対戦相手のカナダは、2015年世界選手権3位の強豪チームでした。

 

女子

【Aブロック】

試合結果

スウェーデン 7−2 LS北見

スコットランド 7−6 韓国(チームKim)

スウェーデン 5−2 韓国(チームKim)

スコットランド 5−4 中部電力

 

勝敗表

スウェーデン  2勝0敗

スコットランド 2勝0敗

LS北見     0勝1敗

中部電力    0勝1敗

韓国(チームKim) 0勝2敗

 

【Bブロック】

試合結果

中国 8−4 カナダ

あおもりユース 9−3 札幌学院大学

中国 7−2 あおもりユース

北海道銀行 6−3 札幌学院大学

 

勝敗表

中国     2勝0敗

北海道銀行     1勝0敗

あおもりユース  1勝1敗

カナダ     0勝1敗

札幌学院大学    0勝2敗

 

【Cブロック】

試合結果

軽井沢FB 7−5 ロシア

韓国(チームGim) 5−3 デンマーク

ロシア 8−3 富士急

デンマーク 5−3 軽井沢FC

 

勝敗表

韓国(チームKim) 1勝0敗

デンマーク  1勝1敗

軽井沢FB  1勝1敗

ロシア  1勝1敗

富士急  0勝1敗

 

相手も強豪スウェーデンとはいえ、現日本代表のLS北見は予想以上の大差で敗戦してしまいました。他では男子のI.C.E同様、日本勢で唯一海外勢に勝利した軽井沢FBの健闘が光ります。ロシアは、世界選手権2大会連続3位のチームです。敗れたデンマークとも最終エンドまで接戦を演じています。

 

 

次回は、2日目の試合結果と共に、平昌五輪代表権を争う国内の勢力図などをお伝えできればと思います。

一段階引き上がった攻守の切り替え 〜サウジ戦雑感〜

昨日、友人からLINEメールが届きました。

 

「手短でいいので伺いたい。サウジ戦の総評は如何に? 原口のハードワークが光っていたよね?」

 

勝手に“執筆依頼”と受け取って書き始めました。単なる感想になるのは覚悟の上で。

 

結論から言ってしまうと、最終予選の中では一番良かったんじゃないかなと思っています。その一番の理由は、攻守の切り替えの速さが段違いに改善されたからです。

 

正直に言って、ここのところサッカーの記事を書くことを少しためらっていました。それは、10月のイラク、オーストラリア戦後に感じた、あまりにも極端な二元論に偏る空気が窮屈だったからです。

 

ハリルホジッチ反対派は、代表のカウンターサッカーを批判し、結果重視の試合内容を批判する。不安を煽り立てるマスコミに流されている。

 

ハリルホジッチ擁護派は、代表のカウンターサッカーに理解を示し、結果にこだわった内容を評価する。マスコミに流されず現実を見ている。

 

簡単に言うと、こんな感じ。

僕は10月のイラク、オーストラリア戦後、“勝敗ではなく、試合内容に興奮したい”と書きました。僕自体、ハリルホジッチ解任派でもなく続投派でもない。カウンターサッカーを否定するつもりも、ポゼッションサッカーを支持するつもりもない。相手からボールを奪って攻撃が始まるという意味では、全てカウンターだ。しかし、“試合内容に興奮したい”という言葉で、あなたはハリルホジッチ反対派に当てはまります、みたいな空気。

 

ただ、極端な二元論に当てはめられる空気を窮屈に感じた一方で、個人がどう感じ、どう意見をするのかも自由。過程なんかどうでもいいと言わんばかりの論調には、さすがに閉口しましたが。

 

少し横道にそれてしまいました。とにかく、自分の表現が分かりづらいものだったかと反省しつつ、なぜ自分が“試合内容に興奮したい”と感じてしまったのかをしばらく考えていました。

 

そこから出た、私なりの結論は、“攻守の切り替えの速さ”でした。

 

Jリーグの試合を観察すると、海外サッカーに比べて極めて牧歌的だと改めて感じました。テンポが遅くて、止まっている選手が多い。テンポが上がって運動量が求められたら、技術とスタミナは維持できるのか? と。ハリルホジッチが厳しい環境に身を置く海外組を評価する気持ちもある程度理解できます。

 

そして、オーストラリア戦を見返して一番気になったのは、オーストラリアが日本の守備の網に引っかかってマイボールになった直後。オーストラリアが守備に切り替えてプレッシャーをかけると、苦し紛れにロングボールか、つなごうとしてパスミスになる。足りないと感じたのは2つ。1つは、プレッシャーを感じる状態で、素早い状況判断&パスを正確に繋ぐボールホルダー自身のスキル。そして、もっと足りないのは、ボールホルダーのパスコースを作ってあげる周囲の動き。守備重視のカウンターサッカーでもかまわない。だけど。なぜ、パスコースを作ってあげない!? なぜ、スペースに走り出さない!? なぜ、ボールを奪って一休みしている!?

 

多分、それが試合内容に興奮できなかった正体なんじゃないかと。

 

ポゼッションサッカーという言葉と固定化されたメンバーの裏で、密かに進行していたのは、守から攻への切り替えの速さの鈍化。引いた相手をどう崩すのか? というアジアでのテーマも一因かもしれない。また、メンバーが固定化され脅かされることのない状況では、代表のレギュラーに求められるプレーのスタンダードが中々上がらなかったのではないか? そう考えると、ハリルホジッチが求める縦に速いサッカーが中々浸透しないのも一応の合点がいきます。オーストラリア戦では、自陣にブロックを敷く→マイボールになる→相手のプレッシャーに負ける→自陣にブロックを敷き直す、の繰り返しに終始しました。監督云々戦術云々以前に、そもそも守から攻への切り替えが遅いのだから、カウンターサッカーを試みても、カウンター自体が発動しないわけだと。

 

そんなこともあり、サウジ戦は攻守の切り替えに注目していました。そして、それは予想以上にテンションの高いものでした。守から攻への切り替えの速さは、その判断スピードの速さも相まって、サウジの出足を上回る場面を多く作り、相手の対応を後手に回らせていたように思います。また、攻から守の切り替えの速さが、相手からカウンターを繰り出す余裕を奪います。切り替えが遅かったら、サウジがドリブルで仕掛ける場面や、精度の高い危険なパスは、より多く出ていたかもしれません。

 

パスを出した後も止まらずに動いて次の受け手になり続けた清武選手。多少荒っぽいパスでも収めてくれる大迫選手の頼もしさ。これらは、守から攻への切り替えをスムーズにするのに一役買っていました。そして、彼らだけでなくチーム全体として攻守の切り替えと判断スピードを上げることができていたように思います。私は、この日の代表に今まで以上の気迫を感じました。そう映ったのは、相手ボールになった瞬間にすぐさま奪い返さんとし、マイボールになった瞬間すぐさま襲いかからんとする獰猛さゆえではないかと思うのです。

 

代表定着とレギュラーを奪い取るために、既存のレギュラー以上の何かを残さんと攻守に奮闘する新戦力。そして、W杯出場のために何としてもこの試合を勝たなければという、チーム全体の強い意識。その2つが、代表における攻守の切り替えのスタンダードを一段階引き上げたように思います。気負いも見られた。急ぎ過ぎる部分もあった。それを差し引いても、一段階引き上がった切り替えの速さはプラス要因だったのではないでしょうか?

 

「自分が出られなければ、割って入ろうと努力する。そういう立ち位置に戻った(岡崎)」

「明日は我が身と思う部分もある(長谷部)」

嬉しいのは、今まで次戦の抱負を語っていた既存のレギュラーが、自身の立場に対する危機感を口にしたこと。大迫、原口、久保、山口、長友。最終予選初戦のUAE戦からは、怪我で離脱した長友選手を含めると、先発が5人入れ替わっています。誰が出て誰が外れたかよりも大事なこと。それは、競争原理が正常に働きだしたことで、既存のレギュラーに対しても求められるプレーのスタンダードが上がったことです。これくらいできなければ代表のレギュラーは勝ち取れないというスタンダードが。仮に劣っていたとしても、それ以外の部分で納得させるだけの違いを産み出せる何かがなければと。

 

監督云々よりも、戦術云々よりも、肝となる攻守の切り替え。

それは、W杯出場への危機感と正常に機能した競争原理によって一段階引き上がりました。次なる来年3月のUAE戦までに、所属チームで置かれた状況や好不調が変化する選手もいるでしょう。それでも、競争原理が正常に働き、この日一段階引き上がった代表のスタンダードを落とさなければ。そうすれば、今後に可能性の持てる代表の姿が見られるのではないかなと期待しています。

今さらながら日本シリーズ雑感 〜打たれる3割より、抑える7割〜

カブスがヤギの呪いを解いて108年ぶりの頂点へ。

 

最終第7戦までもつれ込んだ海の向こうのワールドシリーズは、カブスが68年ぶりの頂点を目指すインディアンスを延長戦の末に8−7で降した。プレーオフ絶好調だったインディアンスの中継ぎ左腕ミラーが追加点を許せば、カブスの絶対的守護神チャップマンも3点のリードを守りきれず、6−6で延長戦へ突入。まさに総力戦の大熱戦だった。

 

先週の話になってしまったが、日本シリーズも中々の大熱戦だった。

 

昨年のヤクルト、一昨年の阪神は、かなり一方的にソフトバンクにやられた感があった。しかし、今年ダントツでセリーグを制した広島は、ソフトバンクを退けて進出した日本ハムにまったくひけをとらなかった。むしろ、本拠地で2連勝した後の札幌でも、広島は押し気味で試合を進めていた感があった。第6戦で、日本ハムはようやくシリーズ初の先制点を上げている。第5戦まで常に先取点を取って試合をリードしていたのは、広島だったのだ。

 

個人的な感想だが、広島ががっぷり四つに組めた理由は、攻めていたからだと思っている。

 

「4000のヒットを打つには、8000回以上は悔しい思いをしてきている」

 

これは、日米通算4000本安打を達成した際のイチロー選手のコメント。いまだかつて、日本のプロ野球で4割の壁を越えた打者はいない。メジャーリーグでは、戦前の1941年のテッド・ウィリアムスまで遡らなければならない。ざっくりと言えば、どんな打者でも7割近くは凡退する。その事実を、昨年まで2連覇したソフトバンクは見事に活かしているなあと痛感していた。

 

「打たれる3割を恐れるよりも、抑える7割を信じる」

 

警戒してカウントを悪くするよりも、一番自信のある球種でストライク先行を優先し、投手有利のカウントに持ち込んでいく。一昨年、阪神ソフトバンク投手陣の初球カーブに中々手が出せなかった。昨年、トリプルスリーを達成したヤクルトの山田哲人は、第4戦で3打席連続ホームランを打ったが、シリーズ通算は2割1分1厘。一方、阪神やヤクルトの投手陣は、強力打線を警戒するあまりにフォアボール、又はカウントを悪くして強力打線に捕まる場面を多く作ってしまっていたように感じた。打ち損じを恐れないソフトバンク打線の積極的な姿勢が、阪神やヤクルトに「打たれる3割」を恐れさせた、という見方もできるかもしれない。

 

そんな2年があったから、今年もそこに注目していた。

どちらが「打たれる3割を恐れるよりも、抑える7割を信じる」か?

 

その意味では、ジョンソン・野村・黒田・岡田と第5戦まで広島の先発投手陣は、臆せずに日本ハム打線を攻めていた。その積極的な姿勢が、日本ハムの打者を戸惑わせているように見えた。好調の大谷を除けば、ほぼ抑え込んでいたように感じた。

 

そして、場所を広島に戻して迎えた第6戦。

 

初回の広島の攻撃。日本ハムの先発増井が投じる初球のストライクを、見逃すシーンが気になった。逆に守りでは、ノーストライク2ボールの場面がやけに多かったと記憶している。あくまで個人の感想だが、それはこのシリーズで初めて気になった広島の打ち損じを恐れる姿であり、「打たれる3割」を恐れる姿だった。試合自体は、先制点を取られながらもすぐに逆転し、再逆転されてもまた追いつくという一進一退の内容だったが、第5戦までの攻める広島とは受ける印象が違った。もし、札幌で1勝でも挙げていたら。広島は攻め続けられたかもしれない。そう思うと、日本ハムが重苦しい雰囲気を耐え忍んで逆転した札幌での3試合が大きかったような気がする。単に結果だけを見れば、リリーフ陣の出来や継投のタイミングが明暗を分けたシリーズかもしれないけど。

 

それにしても、日本シリーズはこれでパリーグが4年連続で勝利。来年あたりは、セリーグの巻き返しを見てみたいものだ。

鈴木尚広引退 〜「イヤだな」と思わせてくれた稀代のスペシャリスト〜

どんなファンでも、出てくるだけで「イヤだな」と感じてしまう敵チームの選手がいる。

阪神ファンの僕が、軽く振り返って今思い浮かんだのは、

 

クライマックスシリーズ、チャンスで打席に入るホークスの内川聖一

少し前だと、試合終盤にセットアッパーでマウンドに立つ巨人の山口鉄也とか。

むちゃくちゃ遡ると巨人の斎藤雅樹なんて、初回抑えられただけで今日もダメかーと思ったもんだ。

 

そして、

「代走、鈴木尚広

 

彼もまた「イヤだな」と思わせてくれた1人だった。

 

終盤の勝負所で、彼が出てくると点が入りそうに思えてならなかった。

打席に入るわけでもなく、投げるわけでもない。ただ、走者が代わるだけ。

それなのに、こんなに存在感を感じる選手はそういなかった。

 

鈴木尚広が、今シーズン限りでの引退を発表した。

「イヤだな」と思わせられた選手でも、いざいなくなると思うと寂しい。自分勝手なものだ。

 

「人の将に死なんとする、其の言や善し」という言葉があるけれど、引退する選手の言葉もまた味わい深い。

 

「今まで楽しく野球をやったことはなかった」という宮本慎也の言葉は、楽しむことがクローズアップされていた中にあってインパクトがあった。

「未練たらたらです」と話した中山雅史の言葉からは、正直な胸の内が伝わってきた。

(中山雅史は「引退」という言葉を使わず、第一線を退くとしたので厳密には引退ではないのかもしれないが。現在はJFLのアルスクラロ沼津に選手として所属)

 

稀代の走塁のスペシャリストの言葉もまた味わい深かった。

 

「準備なくして結果はない」

「準備こそが僕の全てだった」

 

聞くところによれば、ルーティンを含めると試合開始7時間前から準備していたのだとか。試合展開次第では出番があるかどうかもわからない。その中で、一瞬の出番のために長い準備を費やす。改めて気付かされる。「イヤだな」という強烈な存在感は、決して普段映ることのないプロセスの部分が作り上げたものだということを。

 

図らずも、彼の現役最後のプレーは、クライマックスシリーズでのけん制アウト。そのことに関して聞かれた際、彼は最後にこうコメントした。

「野球の神様の『もっともっとこれから成長していくんだぞ』というメッセージが込められていたのかなと思います」

 

引退しても人生は続く。僕らはただ感傷的になるだけだけど、彼らにはセカンドキャリアとの戦いも待っている。

 

文字通り走り続けた「イヤだな」と思わせてくれた男にリスペクトの拍手を。

そして、彼の第2の人生に心ばかりのエールを。

勝敗ではなく、試合内容に興奮したい

今月14日、卓球の平野美宇選手が、中国のトップ選手が集まる中国スーパーリーグへ参戦するため日本を発った。彼女は先日、卓球のW杯で日本人初、しかもW杯史上最年少となる16歳での優勝。中国勢が不参加だったこともあるけれど、準決勝、決勝は共に世界ランク一桁の選手を堂々破っての快挙。先月は、愛ちゃんこと福原愛選手の結婚だったりと、日本卓球界は明るいニュースが続いている。

 

そして、何よりも女子に限らず男子にも注目が集まりはじめたのが、卓球ファンにとっては嬉しい。

 

「卓球残念やったけど、水谷って人凄いね」

 

8月18日の朝、僕の友人からこんなLINEメールが届いた。もちろん、「水谷って人」というのは、個人戦で銅メダル、団体で銀メダルを獲得する活躍を見せ、最近はメディアへの露出も多い水谷隼選手のこと。この日に行われた中国との団体戦決勝、水谷選手は世界ランク3位の許キン選手(キンは日へんに斤)をフルセットの末破った。

 

卓球ファンならいざ知らず、卓球にさほど関心のない友人から届いたメールだったからなおさら嬉しかった。

 

卓球にさほど関心のない人が衝撃を受けるくらい、卓球の面白さが伝わったんだと。

 

この日の許キン戦に限らず、団体準決勝のティモ・ボル(ドイツ)戦も面白い試合だった。そして敗れはしたものの、個人戦準決勝で0-3から2セットを返した世界ランク1位の馬龍(中国)戦も素晴らしかった。その成績以上に、多くの人に卓球の面白さを伝えたことこそ、彼の一番の功績だと僕は思う。

 

僕自身、卓球に関してはメダル云々よりとにかく中国選手との試合を見たいという気持ちが強かった。テニスの4大大会で錦織圭選手の勝ち上がりを期待してしまうのも、悲願の優勝を見たいというよりは、ノバク・ジョコビッチとの試合を見たいという気持ちの方が僕は強いのかもしれない。

 

単なる勝敗ではなく試合内容に興奮したい。また次も見たいと思わせてくれるような面白い試合が見たい、と。

 

さて、サッカー日本代表はどうだろう?

多くの人に、何としても次の試合も見逃したくないと思わせることができただろうか?

 

今月の2連戦。アディショナルタイムに山口蛍が決めたイラク戦の劇的な勝利。アウェーで貴重な勝ち点1を手にしたオーストラリア戦。確かに、勝敗に対する興奮度はあった。

 

しかし、その試合内容には興奮できなかった。

 

荒っぽく言えば、攻撃は原口に何とかしてくれとすがるだけのチームだった。相手に前からプレッシャーをかけられると、まともにパスがつながらない。多くの時間を、蹴り込んだボールを競い合うことに割いた。ペースダウンとペースアップを使い分けたり、機をうかがって急所にパスを入れるような場面も少ない。ただただ個人の頑張りと踏ん張りを期待する単調なチームに、アジアレベルでは多少なりとも感じさせていたエレガントさは消えていた。僕がピッチ上で印象に残ったのは、鬼気迫る原口のプレーぐらい。イラク戦で交代出場する山口の背中をポンと叩き、同点の終盤に誰よりもベンチの前に出て戦況を見守る長友の姿の方が、ピッチ上よりもよほど印象に残った。オーストラリア戦のリアクション的な戦い方も、1つの引き出しとして身につける為であったなら前向きにとれる。1対1の強さを求め、縦に早い攻撃を求めるのも、世界基準から考えて日本が足りないと思われる部分を限りなく近づけていく為に必要だからと考えれば、日本にはできないと決めつけるよりも意欲的な取り組みだとも言える。だけども、それは先を見据えた1つの引き出しというよりも、単なる目先の勝ち点1を拾いにいったようにしか映らなかった。

 

「W杯の後、少し成績は下がったが、選手達は復活するのに十分なクオリティを持っている。成し遂げるだけの力を持っている」

 

昨年3月の就任会見でそう話した指揮官が、オーストラリア戦前の記者会見で発した言葉は随分と毛並みの違うものになっていた。

 

「もし、1年前にこの状況がわかっていれば」

 

W杯に出場することが最終目的地だと下方修正するならば、ホームのイラク戦で勝ち点3、アウェーのオーストラリア戦で勝ち点1を獲得した結果は、悪くないと思う。しかし、W杯に出場することを通過点とするならば、イラク戦の辛勝は物足りなかった。アウェーのオーストラリア戦は、勝たなければいけない試合ではなくても、最後まで勝ちにいかなければならない試合ではなかったか?

 

少なくとも僕は、W杯に出場できたことだけが収穫になるぐらいだったら、内容にこだわって最終予選で敗退する方がまだいいと思っている。その時は、日本を押し退けてW杯に出場したアジアの代表が、世界とどう対峙するのかを見守ればいい。

 

内容よりも結果が大事という人もいると思う。

でも僕は、勝負ではなく、試合内容に興奮したい。