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平昌五輪日本代表選考方法は? 公式練習の様子は? 〜日本カーリング選手権1日目②〜

午前10時、公式練習開始。

 

各チームが公式練習に与えられている時間は、約1時間。公式練習1セットにつき3チームが登場し、4つのシートを代わる代わる使っていく。今大会に出場しているチームは、男女それぞれ9チーム。最初に女子チームが行い、午後になってから男子チームの練習となる。平昌五輪出場を狙う各チームにとって、今大会にかける意気込みは例年以上に高いのではないだろうか。

 

それは、2018年平昌五輪の日本代表選考方法によるところが大きい。

ここで、日本代表選考方法について簡単にご説明させていただく。

 

まず、日本が平昌五輪の出場権を得るには、

①2016、2017年の世界選手権の成績上位8カ国に入る

②上の条件を満たさなかった世界選手権出場国による五輪最終予選で上位2カ国に入る

の2通り。

 

そして、日本が平昌五輪出場権を獲得した場合の日本代表は、

① 2016、2017年の日本選手権を連覇したチーム

② 優勝チームが異なる場合は、そのチーム同士で日本代表決定戦(※男子は、それに加えてSC軽井沢クラブ)を行い勝ったチーム

と決定しているのだ。

 

加えて、今大会優勝チームは、2016年世界選手権、2016年パシフィックアジア選手権、2017年冬季アジア大会の出場権まで獲得する。個人的には、少し早急な気がしないでもないが、今大会の優勝チームは、今後1年間の日本代表と、平昌五輪日本代表に王手をかける権利を一気に手にする。それまでの日本選手権の結果に関わらず、五輪前年の秋に日本代表決定戦が行われたソチ五輪と比べると、今大会優勝のアドバンテージは、はるかに大きいのである。

 

最初の公式練習から、前回優勝の北海道銀行と現日本代表のLS北見がいきなり登場する。ソチ五輪5位、昨年の世界選手権6位の北海道銀行。対するLS北見は、昨年のパシフィックアジア選手権日本代表決定戦で北海道銀行を破り、勢いそのままに日本代表としては10年ぶりにパシフィックアジア選手権優勝。2強の直接対決は、やはり今大会一番の見どころだ。2階観客席では、2強の練習を見守る他チームの姿を見かけることもできた。

 

両チームの練習風景は、対照的。北海道銀行は、すぐにハウスにストーンを置いた練習をせず、アイス(氷上のこと)の感覚を確かめながらショットを投げることに多くの時間を割いていた。スキップ(主将)の小笠原選手が、サード(試合でストーンを投げる3番手のこと)の吉村選手に投げるときの手首の使い方をアドバイスしているシーンもあった。

 

“アイスの感覚を確かめる”と書いたが、カーリングのアイスの表面には“ペブル”と呼ばれる氷の粒が立っている。公式練習前に製氷作業の方が、霧状の水を氷上に撒布して作っていたのが、このペブルだ。

 

カーリングの選手達は、ストーンをどちらかの方向にカール(回転)させて投げる。簡単に言うと、この氷の粒による摩擦力を受けてストーンは曲がり、止まる。しかし、この摩擦力が減れば、ストーンはより遠くまで滑り、より直線的に滑る。その摩擦力を変化させる動きこそ、カーリングの中継でよく見る、ストーンの前をブラシでこする“スイープ”と呼ばれる動作だ。

 

もし、ストーンを投げた直後からスイープをしていたとすると、それは距離が足りないか、ストーンの軌道をなるべく直線的にしたいという意図。逆に、スイープをしない場合は、距離が足りているか長過ぎる、ストーンをなるべく曲げたいという意図になる。スイープしたりスイープを止めたりを交互に繰り返している時は、いいショットになりやすい。それだけ、ストーンの微調整を支配できているという証なのだ。

 

再び、公式練習に話を戻そう。LS北見は、ストーンを投げ始めると、次はセンターガード(ハウスの前方中央に置くハウス内のストーンをガードするストーンのこと)を置いての練習、更にハウス中央にもストーンを置いての練習と、より実戦的なシチュエーションの練習をテンポよく進めていた。昨年の10月に出産した本橋選手もスイープに加わりながら、ハウスの後ろで藤澤選手とコミュニケーションを取っている。昨年5月に加入したスキップ藤澤選手は、まるで何年かこのチームにいるかのようだ。日本代表になった自信からか、チーム全体の雰囲気も明るく見えた。

 

この2強を脅かす台風の目になりそうなチームとして、公式練習でよく見えたのが、チーム軽井沢(中部ブロック代表)。各選手がハウス内に置いたストーンに向かって、淡々とテンポよく正確なショットを繰り返しているのが印象に残った。昨年の日本ユース選手権は、惜しくも決勝で敗れたものの、予選では全勝通過。中部選手権では、本大会の常連中部電力を破っている。若いチームだけに、勢いに乗ると面白そうだ。

 

午後に入って、男子チームの公式練習。

 

男子の2セット目に登場してきたSC軽井沢クラブは、スキップの両角友佑選手がしきりに首をひねるシーンが気になった。感覚がイマイチなのか、目指すレベルが高いがゆえなのか。長野五輪以降、五輪出場を逃している日本男子カーリング。女子に比べると注目度が低く、なかなかTV中継でもお目にかかることは少ない。しかし、SC軽井沢クラブは、2014年世界選手権5位、2015年世界選手権6位と着実に結果を残しており、2015年パシフィックアジア選手権では準優勝して世界選手権出場権も獲得してきた。女子以上に、五輪にかける気持ちは強いかもしれない。

 

男子1セット目で登場した札幌は、SC軽井沢クラブを追いかける1番手。アイスの感覚をじっくり確認するシーンが多く、スキップ阿部選手を中心にメンバー全員で時折話し合うシーンが印象に残った。その他のチームだと、1セット目で登場したチーム東京が、ショットの感覚がよさそうに見えた。

 

最後に、公式記者会見での有力チームのコメントを載せておく。

 

北海道銀行小笠原選手

「チームが確実に成長した証を見せたい。2連覇を目指す」

 

LS北見スキップ藤澤選手

「挑戦者として、代表となった責任感も持って臨みたい」

 

SC軽井沢クラブ両角友佑選手

「簡単には勝てないとは思うが、いつも通りのプレーができれば」

 

 

 

 

次回は、大会前半戦を見た感想をお届けする予定です。