情熱のカムアラウンド

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心の感じるままに。カーリングをメインに様々なスポーツを追いかけて。駆け出しスポーツライターの人生奮闘ブログ。

カーリングは想像以上にタフなスポーツ 〜日本カーリング選手権1日目①〜

2/6青森。

バス停の屋根には、こんもりと雪が積もり、歩道の横にかき分けられた雪の高さは、身長と同じくらい。暖冬から一変して寒気が入ったからなのか、毎年変わらない冬の光景なのか。青森市内は目を移すところ全てが雪景色だ。

 

第33回日本カーリング選手権を観る為に、埼玉から青森までやってきた。取材する為にと言いたいとこなのだが、個人的な取材の為、申請は通らなかった。これもいい経験。現場の空気を感じられればと思い、初めてのカーリング大会生観戦を決めた。

 

会場となる、みちぎんドリームスタジアムまでは、青森駅から市営バスで向かう。先に乗車した男性が整理券を取り忘れたようなので席まで運んでいく。カーリングのブラシを入れたバッグを抱えていたので、「カーリング選手権に出場する選手ですか? 」と聞くと、「はい」と答えてくれた。軽い質問を2、3つほどしてしまったのだが、会場入り直前にも関わらず快く答えてくれた。15分程乗車すると、最寄りのバス停に到着した。

 

9時過ぎに会場へ。入口のロビーでは、LS北見の本橋選手がスタッフさんと明るく話していた。そんなやり取りを見ながら、どこに進めばいいのか戸惑っていると、大会関係者の方が声をかけてくれた。取材関係者かと思ったようだ。今日は公式練習と記者会見などが主で、試合は明日から。観戦で朝早くから訪れる人は稀なのだろう。「個人的な取材なので…、許可をいただいてないので一般の観戦でなんですが」と説明すると、「そうなんですか…」と言って、観戦用のスペースを教えてくれた。「わからないことがあったら、何でも聞いて下さい」と言われ、お礼をして観戦スペースへ向かう。

 

公式練習は10時からのスタートなので、それまで観戦用のスペースを見て回る。カーリング場へ入ると、長い通路の横には3列ほどの1階観客席が並行している。そして、観客席のすぐそばから奥まで4面の試合シートが横たわっている。シートの手前から、はるか奥に見えるハウス(ダーツの的のような円心円。ここを目掛けて選手達はストーン(石)を投げる)は、想像以上に小さく見える。

 

カーリングの試合シートの長さは、およそ約45m。他のスポーツだと、サッカーコートのハーフェーラインからゴールラインまでが約45〜50m。皆さんが身近に感じるものだと、電車の1車両が約20m。少しは、その長さが想像いただけたろうか。

 

実は、試合シートは中間点に線を引くと、左右対称に作られている。1エンド(野球でいうイニング。試合は通常10エンドだが、8エンドの場合もある)ごとにスタート位置を逆にして試合が行われる為だ。

 

試合シートは片方の端から、

ハック①→ハウス①→ホッグライン①→ホッグライン②→ハウス②→ハック②の順に並んでいる。

 

ハックというのは、ストーンを投げる時に足をのせて助走をつけるための蹴り台(陸上のスターティングブロックを連想するとわかりやすいかもしれない)。ホッグラインは、ストーンを投げる手を離さなければならないラインであり、投げた先にあるもう一方のホッグラインは、ストーンが超えなければならないラインである。どちらか満たさなかった場合、投げたストーンは無効となる。

 

つまり選手達は、ハック①を蹴って助走をつけ、ホッグライン①の手前でストーンを投げ、そのストーンはホッグライン②を超えてハウス②に向かわなければならないという事になる。

 

ホッグライン①からホッグライン②までの距離が約22m、ハウス②の中央までは約28.4m。ハウス後方部分を狙って投げるケースもあるのだから、選手達は約22〜30m先を狙って投げている。ボーリング場のファールラインから1番ピンまでが、約18〜19m。だから、最低でもボーリングより3m先、最大では10m以上先を狙って投げているのだ。その距離もさることながら、試合の状況によって約8mの長さを調節して投げなければならない。更に言えば、ストーンの重さは約20kg。ハウスの円は、一番外の円で半径1.83m、一番中央の円は半径わずか15cm(スタート地点から見ると、ほとんど見えない! )。

 

これだけでも、カーリングの選手達がTV中継の見た目以上に、タフなショットを要求されているのかおわかりいただけるかと思う。

 

1階の通路を奥まで行き、階段が上がって2階の観客席に向かう。2階の観客席は、ガラス張りになっていて寒さをしのぐことができるようになっていた。反対側の2階観客席は関係者専用になっている。TV中継で使われるのは、おそらく2階からの映像だったのだろう。2階は試合シートを縦に観戦できるようになっており、上から俯瞰してストーンの軌道やハウスの状況を見ることができる。選手の息づかいを感じるなら1階、試合を見るなら2階だ。

 

2階と1階を往復しながら、製氷作業などを見学していると公式練習の10時がいよいよ近づいてきた。

 

 

 

次回は、平昌五輪日本代表選考方法に触れながら、公式練習の様子をお届けしたいと思います。また、時折カーリングの予備知識も簡単に説明していこうと思っているので、今後の観戦の参考にしていただければ幸いです。