情熱のカムアラウンド

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日本カーリング選手権決勝を前に、TV観戦の予備知識まとめてみました

大会7日目。

 

午前中のプレーオフ初戦で、LS北見に敗れた北海道銀行。午後の準決勝でも、予選4位から勝ち上がった富士急にエキストラエンドの末、敗れてしまった。決勝で、LS北見北海道銀行の戦いが見られないのは残念ではあるが、富士急は見事な戦いだった。

 

今日の14時30分からは女子の決勝が、翌深夜2時からは男子の決勝が、NHK-BS1で放映される。そこで、大会の観戦記はひとまずお休みして、カーリングの基本的なルールと作戦パターンをご紹介させていただこうと思う。もちろん、TV中継でアナウンサーや解説の方が、分かりやすく説明されると思う。ただ、それを聞いて理解しながら試合を追うのは、結構忙しい作業になるかもしれない。TV観戦の予備知識としてご利用いただければありがたい。

 

 

まず、基本的なルールから。

 

カーリングは、1エンドにつき、両チームのリード(1番手)、セカンド(2番手)、サード(3番手)、フォース(4番手)が交互に2投ずつ、計8投を投げる。スキップ(主将)が投げる時は、そのままスキップと呼んでしまうことが多い。

 

8投を投げ終えた時点で、ナンバー1ストーン(ハウスの中央に一番近いストーン)を持っているチームに得点が入る。得点数は、ハウス内にあるストーンの数ではない。相手のナンバー1ストーンに対して、自分のストーンがいくつ中央にあるか、である。もちろん、ハウス内にストーンが1つもない場合は両チーム0点になる。

 

そして、得点を取ったチームが、次のエンドは先攻になる。これを10エンド(8エンドまでの場合もある)まで続け、最後の合計得点で勝敗が決まる。

 

カーリングは、氷上のチェスと呼ばれるスポーツ。ストーンの配置、残りエンド、得点差etc。状況により作戦は、攻撃的にも守備的にもなり、変化は膨大になっていく。ここでは、残りエンドや得点差などをなるべく省いた、最もオーソドックスな作戦パターンだけ紹介してみる。それを1つのセオリーとして覚えておくだけでも、カーリングを観戦する際の指標となるのではないかと思う。また、その流れの中で、カーリングで使われるショットについても可能な限り紹介してみる。

 

 

最初に、覚えておいていただきたいのは、

「先攻よりも後攻が有利」

そして、

「先攻の時は、相手を1点に抑え、後攻の時に2点取る」

がセオリーという事。

 

先攻チームが投げたストーンを、後攻チームが打ち出すことの繰り返しを想像していただきたい。ミスがなければ、後攻チームが最後に相手ストーンを打ち出して、ハウス内に自分のストーンを留まらせて1点だ。当然、最後にストーンを投げる後攻チームが有利となる。

ちなみに、単に相手のストーンを打ち出すショットを「テイクアウト」、相手のストーンを打ち出して自分のストーンを留まらせるショットを、「ヒット&ステイ」という。

 

ただ、有利ではあるが、これでは後攻チームは1点しか取れないうえ、先攻チームは圧倒的不利すぎる。しかもつまらない。

それを防いでいるのが、フリーガードゾーンルールだ。

 

フリーガードゾーンというのは、ハウス中央を垂直に横切るティーラインからホッグライン(ティーラインから約6.4m前方に引いてある)までのゾーン(ただしハウス内を除く)。

 

リードの2投に関しては、このゾーンに入っているストーンを打ち出してはならない、というルールになっている。このルールが、後攻チームに2点以上得点するチャンスを与え、一方で先攻チームの圧倒的不利を緩和する。ただ、それでも最後にストーンを投げられる後攻チームが有利であることに、変わりはない。

 

さて、2点以上得点を取りたい後攻チームは、フリーガードゾーンルールを活用して、ガードストーン(ハウス内のストーンが打ち出される進路を邪魔するストーン)を、フリーガードゾーンに置いていく。ちなみにサイドに置くガードストーンはコーナーガード、中央に置くのはセンターガードと呼ぶ。

 

リードが、ガードストーンを1投で打ち出されないように両端に置けば、先攻チームのセカンドがガードストーンを打ち出しても、ガードストーンが1つ残る。なので、後攻チームは、残ったガードストーンの後ろに回り込んでハウス内に石を置く。このガードストーンの後ろに回り込むショットが、「カムアラウンド」と呼ばれるショット。

 

もし先攻チームが、この回り込んだストーンを打ち出す事に失敗したら、後攻チームは、ハウス内の別の場所にストーンを入れる。そして、先攻チームがハウス内のストーンを1つ打ち出しても、また2つ目のストーンを作る事を繰り返す。これが、後攻チームの2点パターンだ。仮に、先攻チームが相手ストーンの打ち出しに再び失敗すると、後攻チームには3点以上のビッグエンドのチャンスが生まれてくる。

 

 

では、先攻チームはどうやって1点に抑えるか?

それは、後攻チームが2つのガードストーン作る間に、リードの2投をどう使うか? という事である。

 

得点数のルールをいま一度確認していただきたい。得点数は、ハウス内にあるストーンの数ではなく、相手のナンバー1ストーンに対して、自分のストーンがいくつ中央にあるか、で決まる。ここがミソである。

 

そこで、一番強力な場所、つまりハウスのど真ん中に最初のストーンを入れようとする。これが最も多い。

相手のストーンを打ち出すのではなく、意とするところに置きにいくショットを「ドローショット」という。

 

次のリードの2投目は、センターガードだ。その強力なナンバー1ストーンを、相手に打ち出されないように守っていく。これがうまく決まると、後攻チームは厄介な事になる。1つ目の理由は、ハウスど真ん中のストーンが守られ続けると、相手にスチール(先攻チームが得点を取ること)を許してしまう。2つ目の理由は、自分達のラストショット時に、ハウス中央を狙う進路を開けておきたいからだ。

 

そして、後攻チームは、もう1つのコーナーガードを置かずに、ハウス内中央のストーンに絡んでいく……。そんな感じで試合は展開していく。

 

 

エンドの終盤局面でのスーパーショットは、確かに華があるし醍醐味でもある。しかし、序盤のセットアップ(セカンドまでの4投によるストーンの配置)を上手に作り続ける地道な作業は、試合を優勢に進める大きなポイントになる。

 

富士急が、北海道銀行に勝利できた最大の要因も、このセットアップを頑張った事だと、私は思っている。これについては、後に触れることができれば紹介したいと思う。

 

以上、自分なりに簡潔にまとめてみた。なるべく噛み砕いて説明したつもりだが、わかりづらい部分もあるかと思う。カーリングに関心を持つ第一歩にしてもらいたい、という熱意を汲んでお許しいただきたい。