情熱のカムアラウンド

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好事魔多し〜勝敗を分けた1ポイント〜

最終セット、1つのスマッシュミスが、試合の流れをがらりと変えた。

 

世界卓球2015女子ダブルス2回戦。「みうみま」こと平野美宇/伊藤美誠組と、リー・ジエ/リー・チェン組(オランダ/ポーランド)のカットマンダブルスの試合は、最終第7セットまでもつれこむ大接戦となった。

 

そして最終ゲーム。2−1とリードした平野/伊藤組に勝機がやってくる。幸運なエッジボール(卓球台の端に当たってボールの軌道が変わるボール)が続き、4−1とリード。接戦の試合では、1つのネットボールやエッジボールは精神的にガクッとくる。しかも連続。もし、試合が平野/伊藤組の勝利だったなら、リー・ジエ/リー・チェン組にとっては不運なポイントが続いたのが気の毒でもあった、となっただろう。リー・ジエ/リー・チェン組には落胆の色が見えた。もし、次の1ポイントを平野/伊藤組が取ったとしたら、試合が決まってしまう可能性は高い。

 

そして次のポイント。リー・ジエ/リー・チェン組の返球は浮いてしまう。絶好のチャンスボールが、勝利をぐっとたぐり寄せるポイントが伊藤美誠にやってきた。しかし、伊藤美誠の放ったスマッシュはネットにかかってしまう。

 

平野/伊藤組にすれば、「ドンマイ、ドンマイ」というぐらいのポイントだったのかもしれない。実際、それほど動揺の色が見えていた訳でもなかった。まだ、2点リードしている。引きずるほどの事ではないし、むしろ引きずらず切り替えて正解である。

 

しかし、リー・ジエ/リー・チェン組にとってのこの1点は違った。5−1と4点差になるはずのポイントが、4−2と2点差になったのである。相手が6点取る前に10点取らなければならないのと、相手が7点取る前に9点取ればいいのとでは全く追い込まれ方が違う。たった一つのスマッシュミスは彼女らに大きな勇気を与えた。まだ頑張れる。まだいけると。再び勝敗の流れが混沌とし始めた試合は、最終的に11−9でリー・ジエ/リー・チェン組に軍配が上がった。彼女らはその後、一気にベスト4まで駆け上がった。

 

勝利を大きくたぐり寄せるはずの1点。それが、相手の息を吹き返す1点となってしまった。まさに好事魔多し。何とも残念な敗戦だった。