情熱のカムアラウンド

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心の感じるままに。カーリングをメインに様々なスポーツを追いかけて。駆け出しスポーツライターの人生奮闘ブログ。

続・真夏の夜の出来事~テレビメディアに求めること~

 最近、テレビのスポーツ報道は、純粋にスポーツを伝えるという本質から、少しずつ遠ざかっている気がする。前回、プロに求められることとは? と題して、亀田興毅のことを書いた。しかし今、テレビメディアにも、プロの伝え手としての姿勢が問われている。

 

 話は、1週間前の亀田の世界戦にさかのぼる。多くの人達が、その試合内容と結果に苦情を寄せた。それと同時に、放送に関しての苦情が多かったのも事実だ。試合前から再三流された、過剰なまでの亀田を美化する報道。賞賛の声だけに偏ったコメンテーター。実際、両者の戦力比較や、試合展開の予想といった、試合に即した報道がどれだけされただろうか。

 “筋書きのないドラマ”この言葉は、スポーツの面白さをよく表している。今回の亀田戦までの一連の報道を見る限り、伝える側が“筋書きのあるドラマ”を期待し、作り上げていた。そんな報道が、世界タイトルマッチという最高の舞台を、恐ろしく陳腐なものにしてしまった感は否めない。

 

 同じ日、日本テレビでは、阪神対巨人の試合が放送されていた。8回までを終了し、巨人が3-2で1点リード。さあ最終回の攻防というところで、放送は終了した。最近、テレビでプロ野球の放送時間を延長しないことが多い。この日は、裏番組に亀田戦があることもあって、延長の予定はなかった。しかし、1点差で最終回の攻防という見ごたえのある場面。放送終了を残念に思ったファンも多いだろう。いくら視聴率が低迷しているからとはいえ、これではプロ野球人気復活のムードに水を差してしまう。

 新しいファンの開拓とは、聞こえのいい言葉だ。しかし、それと同時、いやそれ以上に重要なのは、既存のファンを大切にすることではないだろうか。サッカーでは、W杯後にJリーグの放送が減っている。新規の客が来ても、常連客が逃げてしまうようでは、その店は繁盛しない。スポーツの現場と報道は表裏一体だ。人気を支えてきたファンを大事にする姿勢は、テレビメディア側にも問われている。

 

 先日、オシム監督率いる日本代表の初戦が放送されていた。あれほどジーコジャパンに温情的だった報道。今では、ジーコジャパンは、新生オシムジャパンを褒めるときの比較対象でしかない。必要以上に、興奮を煽り、試合内容を褒める。決定的シーンという言葉の乱発。シュートコースにDFがいるのに…。

 W杯での日本の惨敗は、テレビメディアにもいい教訓となったはずだ。W杯人気に乗じて、小手先の盛り上げを弄し、楽観ムードを作り上げてしまった。この教訓を活かさない手はない。過剰に盛り上げたりせずに、そこにあるスポーツをただ純粋に伝えてほしい。人気に優先されることなく、ファンを大切にした報道をしてほしい。プロの伝え手としての誇りや気概を見せて欲しいのだ。