情熱のカムアラウンド

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大儀見優季の「頑張り方」

「守備で貢献できない分、攻撃で貢献したい」

 

これは、別競技になるが、以前ある代表選手が世界大会前に発したコメント。このコメントを聞いた時、私は心中穏やかではなかったのを覚えている。

 

もし攻撃で貢献できなかったら、彼女は何をもってチームに貢献するのだろうか? と。そもそも、不得手なりに精一杯守備も頑張りたいという類いのコメントが聞かれなかったのも、不安をさらに煽った。メッシやマラドーナのような選手が口にするならわかる。しかし、国内で秀でている程度の攻撃力では、世界大会で通用するかは未知数だ。

 

予感は的中してしまった。本大会、攻撃で貢献できなかった彼女に残されたのは、貢献する気すら感じさせない脆い守備。大会中盤にもなると、スタメンに彼女の名前はなかった。

 

かといって、彼女を頑張っていないと言うつもりはない。誰だって、代表に選ばれて勝ちたくない選手はいないし、頑張っていない選手はいない。要するに、彼女は、「頑張り方」を間違えてしまったのだろうと思う。守備で貢献する事に蓋をした結果、必要以上に攻撃で貢献しなければならないというプレッシャーに押しつぶされてしまった。

 

大儀見優季の「頑張り方」は違った。

 

日本は、強化試合からスイス戦までの3試合、1−0の勝利を積み重ねてきた。守備陣にとって1−0の試合が続いた事は、大きな自信となる。しかし、攻撃陣はどうだろう。3点のうち2点はコーナーキックからの得点とPKによる得点だ。守備陣とは対照的に、彼女達が抱いている焦燥感は大きいはず。自分達の攻撃力が通用しているという手応えを得られないでいる。

 

しかし、それでも大儀見優季はその価値を失っていなかった。前線からの守備を怠る事なく続けた。もちろん、彼女だって得点を取って貢献したい思いは強いし、持ち続けているだろう。だけども、彼女は攻撃で思うような貢献が出来なくても、守備を頑張る事でチームに貢献し続けていた。例え、点が取れなくても途中で交代させる事などできない価値を、彼女は見せ続けていた。

 

前回W杯優勝以降、いまいち乗り切れない代表において、彼女は抜群の存在感を見せ続けていた。その得点感覚は、他国からも一目おかれる不動のエース。そして、真に彼女がエースたるゆえん。それは、どんな状況であってもチームに貢献する事のできる選手だからだろう。

 

そうはいっても、大会を通じてチームがずっと無失点を続けられるというのは、かなり難しいミッション。そんな中、安藤選手の骨折によってFWのカードは1枚減った。となれば、その得点感覚が必要になる時が、今後間違いなくやってくる。だから、今は静かに期待して応援したい。守備で貢献し続ける彼女の頑張りが、得点を取る事でいつか実を結ぶ事を。