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土居美咲 グッドルーザーからの卒業、そして新たな挑戦へ

リオ五輪が終わって1週間。早くも年間4大大会のラスト、全米オープンテニスが開幕。選手の疲労は大丈夫だろうかと心配してしまう程、かなりタイトなスケジュールだ。

 

今大会、女子シングルスで土居美咲は第30シード。4大大会初のシードで大会に臨む。

 

思い返すのは、今年の全豪オープン1回戦。A・ケルバーとの熱戦を見て以来、彼女の結果が気になる自分がいた。

 

そして、ウィンブルドン選手権。彼女は自身初となる4大大会ベスト16進出を果たす。ベスト8をかけた相手は、奇しくもA・ケルバー。結果は、3-6 1-6 のストレート。今度は力負けだった。

 

だけど、力負けの事実よりもそこまで駆け上がった事実の方に価値がある。

 

それまで、4大大会における彼女は、素晴らしきグッドルーザーだった。

 

前年の全米オープンでもシード選手を相手に大熱戦を演じたとまでは知っていた。気になって近年の戦績を調べてみると、いかに彼女があと一歩を続けていたかがわかる。

 

2015全仏オープン

2回戦 A・イバノビッチ(第7シード) 6-3 3-6 4-6

2015 ウィンブルドン

1回戦 E・スビトリナ(第17シード) 6-3 3-6 2-6

2015全米オープン

2回戦 B・ベンチッチ(第12シード) 7-5 6-7 3-6

2016 全豪オープン

1回戦 A・ケルバー(第7シード) 7-6 6-7 3-6

2016 全仏オープン

1回戦 S・ストーサー(第21シード) 2-6 6-4 3-6

 

実に4大大会は5回連続で、シード選手にフルセットの敗戦だったのだ。

 

4大大会では32人の選手がシードされる。ノーシードである以上、3回戦に進出するにはシード選手を1人、またはシード選手を破った選手を倒さなければならない。もちろん、ベスト16となる4回戦に進出するには、更にシード選手かそれに準ずる選手に勝たなければならない。

 

ノーシードが上位進出するために破らなければならない2回戦突破の壁。シード選手撃破の壁。

 

さらに調べると、彼女はそれ以前に一度だけ4大大会で3回戦進出を果たしている(2011年ウィンブルドン)。とはいえ、何度も連続して突破できなかった壁は、想像以上に高く感じるものだ。競技は違えど、レベルも違えど、自分の高校時代もそうだった。いつも3回戦突破の壁に阻まれていた。勝ち上がったベスト32の選手達を見渡すと、自分が劣っていないと思える選手もいた。1度でも勝ち上がれば、その壁はそれほど高くないと感じることができただろうと今でも思っている。

 

彼女は越えた。そして、自身初となる4回戦進出でベスト16。もう、2回戦突破の壁は思うほど高く感じないだろう。初のシードで臨む今大会は、シード撃破を狙う選手達を退ける立場。3回戦進出は、彼女にとって通過点としたい最低限の目標になるはずだ。

 

卒業は、新たなる旅立ちの始まりという。

ならば、グッドルーザーからの卒業は、未知なる挑戦への始まり。

 

4大大会初のベスト8進出へ。そして、世界ランクトップ10へ。

新たに始まった土居美咲の挑戦を心から応援したい。