「悪くはなかった」からの脱却を〜ACL初戦〜
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ACL(アジアチャンピオンズリーグ)の初戦、日本の4チームは苦しいスタートを切った。
2007年に浦和レッズ、2008年にガンバ大阪が優勝して以降、日本勢の成績は下降線をたどっている。特にここ3年は、述べ12チームのうち5チームがグループリーグで敗退。残りの7チームをみても、2013年に柏レイソルがベスト4進出を果たした以外は、全てベスト16で敗退している。
なぜ、こんなにアジアで勝ち残る事が難しくなったのだろうか?
今回の4試合、全てで相手に劣っていたとまでは言えない。
ただ、「球際での厳しさ」という面において、4試合とも相手が勝っていた点を見逃すことはできない。相手が厳しいというより、日本のチームが緩すぎた。Jリーグでは目立たない部分が、ACLで戦うと浮き彫りになる。
クロスをあげてくる選手に対しての間合い。ドリブルで突っかけてくる選手に対しての間合い。どちらも中途半端だから、簡単にクロスをあげられ、危険なエリアに侵入を許す。数的優位があったとしても、だ。見事なまでに均等な配置を保った守備ブロックは、相手のトラップミスを、パスミスをひたすら待ち続ける。厳しく言えば、それは多少動く練習用の障害物コーンといった感じだ。
逆に対戦相手は、日本の選手がフェイントで一人かわしても、次がくる。二の矢、三の矢の守備。シュートには猛然と身体を投げ出してくる。決して気持ち良くシュートをさせていない。惜しいように見えるシュートも、シュートコースはほぼ塞いでいる。球際で自由を奪い、時間と余裕は与えない。日本の決定力不足という言葉も、逆を返せばそれだけのプレッシャーを相手がかけていると考えることができる。普段からプレッシャーのある場面で打ってないから決まらない。
そんなシーンが多すぎる。
ガンバは単独のドリブル突破を詰め切れずに失点を許し、レイソルはクロスから集中砲火を浴びた。アントラーズはウエスタンシドニーの厳しい守備に阻まれ、レッズはクロスへの寄せの甘さが致命傷となってしまった。もし、4チームが同じくらいのプレッシャーを相手にかけられていたら、どんな勝敗になっていただろうか?
それなのに試合後のコメントは、
「悪くなかったと思うが、結果は良くなかった」
「基本的には支配していた」
「相手のゴール前にたどり着いた回数もシュート数も多かった」
となる。
これを一言にすると、「決して悪くはなかった」に聞こえる。
「決して悪くはなかった」
果たしてそうだろうか?
間合いを詰める事なく、ただブロックを作る。抜かれはしないし、崩されもしない。しかし、相手にストレスを感じさせることなくパスをさせてしまう。クロスをあげさせてしまう。一方で、相手のプレッシャーに押され、精度を欠くクロスボール、シュート。
「決して悪くはなかった」のだろうか?
現実から目を背けすぎてはいないだろうか?
かつて野村克也さんがおっしゃっていた言葉に、
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
という言葉がある。
負けるには、それ相応の理由がある。目を背けず、瞬間瞬間、局面局面を切り取って、ディティールを見直した方がいい。試合全体としては、パスを回せたし、崩されなかったと曖昧な見た目を信じるよりも。日本代表とて無関係ではない。戦術もフォーメーションもスタイルも、その成否はそれを構成する一つ一つの出来にかかっている。
ACL第2戦が今日と明日行われる。ここで、勝ち点を逃すようだとグループ突破はかなり厳しい条件になってくる。ゼロックススーパーカップを見る限り、ガンバは球際での厳しさが改善されていた。「決して悪くはなかった」レッズは立て直すことができるだろうか?
「負けてしまったが、決して悪くはなかった」
この類いのコメントを繰り返しているうちは、世界基準はおろかアジア制覇も遠くなるばかりである。